渥美清と「男はつらいよ」の成功

渥美清、彼の名前を聞くだけで、日本の映画史における一つの象徴として、多くの人々が彼の姿を思い浮かべることでしょう。特に「男はつらいよ」の寅さん役で有名であり、そのキャラクターは世代を超えて愛されています。

渥美清の本名は田所康夫で、1928年3月10日に東京府東京市（現在の東京都台東区）で生まれました。彼のキャリアは、多くの困難と努力によって築かれました。幼少期には健康問題に悩まされ、小学生の頃は欠食児童であり、病気に苦しむことが多かったと言われています。それにもかかわらず、彼は落語を聴き、登校するとその落語を披露してクラスメイトを楽しませることが好きでした。

映画界への飛躍

渥美清の名を一躍有名にしたのは、もちろん「男はつらいよ」シリーズです。この映画シリーズは、世界最長の映画シリーズとしてギネスに認定されており、渥美清の演じる車寅次郎は国民的キャラクターとなりました。彼の演技は自然で親しみやすく、多くの観客に感動を与えました。

寅さんのキャラクターは、渥美清の幼少期の体験に少なからず影響を受けていると言われています。彼の行商期の経験や生活の苦労が、寅さんの人情味あふれるキャラクターに反映されています。

渥美清のプライベート

渥美清のプライベートは、彼の公のイメージとは少し異なります。

彼は非常にプライベートを大切にし、芸能界の業界関係者との交流はほとんどありませんでした。実際、映画「男はつらいよ」シリーズの監督である山田洋次監督でさえ、渥美清の連絡先を知らなかったと言われています。

そんな渥美清ですが、黒柳徹子との交流があったことは有名です。二人はNHKドラマ「お父さんの季節」で夫婦役を演じ、それがきっかけで親交が深まりました。

黒柳徹子は渥美清を「おにいちゃん」と呼び、彼も黒柳を「お嬢さん」と呼び合う仲でした。この関係は、単なる同僚以上のものでしたが、実際に交際していたわけではなく、兄妹のような関係だったと言われています。

渥美清の結婚と家族

渥美清は、プライベートでは結婚し、二人の子供を持つ父親でもありました。彼の結婚相手は竹中雅子さんという方で、二人は出雲大社で結婚式を挙げました。渥美清が41歳の時、竹中さんは17歳年下の27歳であり、当時としては珍しい年の差婚でした。

結婚式は親族と数人の友人だけが参加するという非常に控えめなものでした。

渥美清は自身のプライベートを非常に大切にし、家族を公の目から守ろうとしていたのです。

渥美清の収入と驚きの事実

渥美清の全盛期には、彼の出演料は驚くべきものでした。「男はつらいよ」の1作品のギャラは5000万円から8000万円と言われており、他の映画やドラマ、さらにはCM出演でも莫大な収入を得ていました。納税額も6500万円以上と、当時の芸能人の中で最高額の一つであったことが知られています。