星家に新たな波乱が訪れた。舞台は1969年、戦後日本の激動期。多岐川家と星家を取り巻く複雑な人間関係、そして社会問題に揺れる彼らの物語が、より深く描かれる今回のエピソードは、まさに読者を一気に引き込む展開が待っている。
物語は1963年、長年にわたって続いた原爆裁判がついに終結する場面から始まる。多岐川友子は、この8年間に及ぶ法廷闘争に深い感慨を覚える。だが、被爆者たちにとっては、これが終わりではなく新たな始まりだった。友子の心は、原告側代理人である米や轟たちと共に、彼らを救うための次なる戦いに向けられていく。
裁判所の廊下を歩く友子の背後には、米が少し苛立ったように声をかける。「被害者を救うことが我々の使命だ」と熱っぽく語る彼に、友子は軽く笑いながら「わかってるわ、でも熱すぎるのよ」と冗談めかして返す。しかし、その笑顔の裏には、彼女自身も感じている使命感と重責が垣間見える。
時は進み、1968年。友子は長らく入院している東京火災裁判所長・滝川を見舞うため病室を訪れる。滝川は療養中にもかかわらず、少年犯罪に対する厳しい処罰の風潮に心を痛めていた。「少年を厳しく罰する声が大きくなっている。何とかせねば…」と訴える滝川に、友子は「大丈夫です、今は治療に専念してください」と優しく諭す。
その後、友子の家族、星家にも新たな動きが出てきた。
1969年、星家の娘、香が東京大学の安田講堂事件に関連して逮捕されるという衝撃的な出来事が起こる。東京大学の学生たちによる大規模な学生運動の中、香もその渦中に巻き込まれたのだった。星家に訪れたこの異常事態は、家族全員に大きな影響を与え、星家の平穏な日常が崩れ去っていく。
香の逮捕を知った友子は、すぐさま米に相談し、対策を練るために奔走する。
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