俳優の渡辺徹さんが61歳で亡くなりました。その笑顔の裏には若い頃から続く病との闘いがありましたが、彼の人生には他にも多くの困難がありました。妻の榊原郁恵さんを苦しめた「不倫」と「牛飲馬食」の生活がその一部です。
渡辺徹さんの父親は流しのアコーディオン弾きで、三軒長屋での貧しい生活の中、サッカーや吹奏楽に打ち込み、生徒会長も務める優秀な学生でした。高校卒業後、彼が選んだのは「演劇界の東大」と言われる文学座でした。
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歌番組で熱烈なファンだった榊原郁恵さんと出会い、交際が始まりました。1987年秋に結婚した二人の「3億円挙式」は生中継され、視聴率は40.1%を記録しました。貧しい長屋暮らしから一転、渡辺さんは長男の誕生後に世田谷の一等地に豪邸を建てました。その後も次男の誕生に合わせて、さらに大きな豪邸を購入しました。
「郁恵一筋」と思われていた渡辺さんですが、1993年に27歳のモデルとの約300日間に及ぶ愛人生活が暴露されました。会見では「不倫」を否定しましたが、郁恵さんは沈黙を守りました。その後、2004年にも再び不倫が報じられました。
結婚当初、渡辺さんの体重は130キロにも達していました。ロケ弁を3つ平らげ、1日6食が当たり前の生活を送っていました。酒も飲み、牛飲馬食に夜更かしという生活は体に大きな負担をかけました。郁恵さんは細心の注意を払い、栄養にも気をつけていましたが、彼女の目の届かないところでは、ご飯にマヨネーズをかけて食べるなどの暴食が続いていました。
30歳の時に急性糖尿病を発症し、2012年には心筋梗塞で6時間に及ぶ大手術を受けました。翌年には急性膵炎で緊急入院し、糖尿病が悪化し人工透析も始めました。昨年4月には大動脈弁狭窄症の手術を受け、11月には細菌性胃腸炎で入院。敗血症が彼の命を奪いました。
家族葬が行われた12月5日、郁恵さんは涙ながらも明るく語りました。「彼は最後まで笑顔を絶やさなかった。そんな彼を誇りに思います」。彼女の強さと支えが、渡辺さんの人生を支えてきたことがわかります。
渡辺徹さんの人生は美談ばかりではありませんでしたが、その裏には妻・郁恵さんの絶え間ない支えと愛情がありました。渡辺さんの笑顔の裏に隠された真実を知ることで、彼の人生がいかに多くの挑戦と試練に満ちていたかを改めて感じることができます。