昭和の時代、多くの人々に愛され続けた歌手、三田明。彼はその甘い歌声と整った容姿で「美しい十代」をはじめとする数々のヒット曲を世に送り出し、一世を風靡しました。しかし、そんな彼の人生は輝かしいものばかりではなく、さまざまな困難に見舞われていました。

1960年代のスター、三田明

三田明は1963年、「美しい十代」で歌手デビューを果たしました。当時の彼は、その端正な顔立ちと透き通るような歌声で一躍トップアイドルとなり、多くの若者たちの憧れの的となりました。彼の人気は凄まじく、紅白歌合戦にも6年連続で出場するほどで、毎日のようにラジオやテレビに出演し、ファンレターも月に数万通が届くほどの熱狂的な支持を受けていました。

しかし、その一方で彼の人気に陰りが見え始めるのは、1970年代に入ってからのことでした。時代の流れとともに、新たなスターたちが次々と登場し、三田の人気は徐々に下降していきました。それでも彼は歌い続け、地方公演やキャバレーなどで地道に活動を続けていました。

人生を狂わせた事故と波乱の展開

三田明の人生に大きな影響を与えたのが、1972年に発生した「日本航空351便ハイジャック事件」です。この事件は、彼が福岡へ向かうために搭乗した飛行機がハイジャックされ、機内での恐怖体験を余儀なくされたものです。

犯人は乗客を人質に取り、羽田空港に戻ることを要求。しかし、幸いにも機内では一人の負傷者も出さずに解決したものの、三田にとってこの出来事は大きな心の傷となりました。

さらに、その後に起こった事故が彼の人生を一変させました。ある日、彼は交通事故に巻き込まれ、顔面に重度の火傷を負うという悲劇が起きました。医師からは「手術は難しい」と告げられ、顔の皮膚を植皮しなければならないほどの重傷を負ったのです。

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