異様な光景だった。2016年1月18日、「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)が始まると、そこには暗幕を背に黒いスーツ姿の5人が立っていた。
「公開処刑」と呼ばれて有名になった会見は、何がそれほど異様だったのか。その異様さの根源は何だったのか。5人の精神状態を分析するために9年ぶりに「公開処刑」の映像を見直すと、当時は気づかなかった5人の感情が伝わってきた。
飛び込んできたのは、葬式のような黒い幕の前に立つメンバーたち。全員が黒のスーツにネクタイ姿だが、ネクタイの色が1人1人微妙に違う。おそらく事務所側が用意したものだろうが、他の4人が黒系なのに対して、木村拓哉さんだけが白系のネクタイをしている。
SMAPメンバーの退所や独立が騒がれていた。しかし木村さんだけは事務所に残るとも報じられていた。ネクタイにも、1対4の構図は現れていた。SMAPの5人は全員、「逆らえない、抗うことができない」という無力感を漂わせ、沈痛な面持ちで手を身体の前に組んでいた。
不祥事を起こしたわけでも、被害者を出したわけでもない。“世間を騒がせた”ということへの謝罪にしては、場の設定も服装もあまりにやり過ぎていた。これは解散しかない。そう思わせるインパクトがその映像にはあった。
真ん中に立っていたのは、リーダーの中居正広さんではなく木村さん。並び順が普段と違うことにも、この会見を設定した事務所の意向は反映されていた。
口火を切ったのも木村さんだ。中居さんと草彅剛さんは視線を落としたまま動かず、香取慎吾さんは目をつぶったまま。稲垣吾郎さんは遠い目をしていた。
重苦しい空気の中、木村さんが口にしたのは謝罪の言葉、そして「このままだと空中分解になりかねない状態だと思いましたので、今日は自分たち5人がしっかり顔を揃えて皆さんに報告することが何より大切だと思いました」
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