2024年4月から放送が始まったNHKの連続テレビ小説『虎に翼』は、日本史上初の女性弁護士であり、後に裁判所長官となる常子を主人公に、その半生を描いた作品です。このドラマの中で、土屋太鳳が演じる山田よねのモデルとなったのが、久米愛という女性です。彼女は、日本初の女性法律家としての道を歩み、同時に家庭を守りながら、多くの苦難を乗り越えた女性でした。

久米愛の生涯とその戦い

久米愛は、1911年に大阪で生まれました。彼女は幼少期から活発で、自分の意見をはっきりと述べる性格でした。彼女の家庭は比較的裕福で、父親は電力会社の社長を務めていましたが、愛は家庭に留まることを嫌い、社会での活躍を強く望んでいました。その中で、9歳年上の兄がハーバード大学に留学し、帰国後は慶應義塾大学で教授を務めるなど、愛の将来に大きな影響を与えました。

1929年、女性が弁護士になれる道が法改正により開かれたことを知った愛は、明治大学専門部女子部に入学し、法律の勉強を始めました。当時、女性が法律を学ぶことは非常に稀であり、その道は険しいものでした。しかし、愛は持ち前の強い意志で勉学に励み、数年後に司法試験に合格します。

苦難と勝利の連続

愛の人生には数々の困難が待ち受けていました。1936年、愛は東京大学に在学していた一歳年下の江尻友高と結婚しますが、その後すぐに夫は戦地へと赴きました。愛はその間も弁護士としての道を進み続け、1941年には長男を出産しますが、その数年後にはその長男を病気で失うという大きな悲しみを経験します。

それでも愛は挫けることなく、戦後の日本で女性法律家としての道を切り開いていきました。1945年には東京に戻り、弁護士としての活動を再開。女性の地位向上を目指して、国内外で活躍を続けました。彼女の努力は実を結び、1951年には日本婦人法律家協会の会長に就任し、国連での活動も行うなど、国際的な舞台でもその名を知られるようになります。

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