「霊長類最強女子」の異名で、国民栄誉賞も受賞した女子レスリング界のレジェンド、吉田沙保里。オリンピック3連覇を含む前人未到の偉業を成し遂げ、2019年に惜しまれつつ現役を引退した彼女のセカンドキャリアに注目が集まっていた。
引退会見では、「これからは一人で買い物にも行きたいし、恋愛もしたい」と、等身大の女性としての夢を語っていた吉田。その言葉通り、バラエティ番組への出演や、CM、イベントへの参加など、マルチに活躍の場を広げている。
しかし、華々しいスポーツ界から全く異なるエンターテイメントの世界への転身は、決して平坦な道のりではなかった。当初は、バラエティ番組特有のテンポ感や、求められるキャラクターに戸惑いを見せる場面も。持ち前の真面目さで、台本を何度も読み込む姿や、共演者にアドバイスを求める姿は、アスリートとして頂点を極めた彼女ですら、新たな挑戦には努力を惜しまない姿勢を物語っていた。
そんな中、視聴者を驚かせたのが、彼女の意外な素顔だ。バラエティ番組では、持ち前の明るさと天然キャラで、お茶の間を笑顔に。特に、大の甘党であることや、意外にもインドア派であることなど、ギャップのあるプライベートが明かされると、ネット上では「かわいい」「親近感がわく」といった声が続出した。
また、ストイックなイメージとは裏腹に、涙もろい一面も。過去の試合を振り返り、涙を流す場面では、彼女の心の奥底に秘められたアスリートとしての苦悩や葛藤が垣間見えた。その姿は、多くの人の心を打ち、共感を呼んだ。
そして、持ち前の負けず嫌いの精神は、エンターテイメントの世界でも健在だ。バラエティ番組では、体を張った企画にも果敢に挑戦し、持ち前の運動神経の高さで、周囲を驚かせることもしばしば。
苦手な料理に挑戦する企画では、失敗を恐れず、何度も練習を重ねる姿が印象的だった。
吉田は、自身の経験を通して、スポーツの素晴らしさを伝える活動にも力を入れている。子ども向けのレスリング教室を開いたり、スポーツイベントに参加したりと、精力的に活動。彼女の言葉には、アスリートとして、そして、一人の人間として、様々な経験を通して得た重みがある。
「これからは、色々なことに挑戦して、吉田沙保里という人間を知ってもらいたい」
新たなリングで、新たな戦いに挑む吉田沙保里。彼女の挑戦は、まだ始まったばかりだ。