2022年11月28日、日本中に衝撃が走った。俳優の渡辺徹さんが急性虚血心不全のため、61歳という若さでこの世を去ったのだ。お茶の間の人気者として活躍し、近年ではバラエティ番組でも持ち前のユーモアで人気を博していた矢先の出来事だった。
渡辺さんは生前、糖尿病や虚血性心疾患、慢性心不全などの病気を抱えていた。2006年には糖尿病と診断され、その後も入退院を繰り返していたという。2022年11月上旬にも体調を崩し入院。懸命な治療が続けられていたが、その甲斐なく帰らぬ人となってしまった。
病室では最愛の妻である榊山啓子さんと、長男で俳優の渡辺裕太さん、次男の渡辺眞英さんが交代で付き添い、献身的に看病を続けていた。特に榊山さんは、夫の病状が悪化するにつれて、自身の仕事をセーブしてまで看病に専念していたという。
渡辺さんの病状が深刻化したのは、11月下旬のことだった。意識が朦朧とする中、渡辺さんは時折、榊山さんの手を握りしめ「ありがとう」と呟いていたという。その言葉は、長年連れ添い、献身的に支え続けてくれた妻への感謝の気持ち、そして息子たちへの愛情があ溢れたものだったに違いない。
そして、11月28日、渡辺さんは静かに息を引き取った。最期は安らかな顔で、まるで眠っているかのようだったという。その場に居合わせた榊山さんと息子たちは、深い悲しみに暮れながらも、渡辺さんの最期を看取ることができたことに安堵の表情を浮かべていたという。
渡辺さんの突然の訃報に、芸能界からも悲しみの声が相次いだ。親交の深かったタレントたちは、追悼コメントを発表し、その早すぎる死に言葉を詰まらせた。
葬儀には多くの芸能関係者やファンが参列し、故人を偲んだ。
特に印象的だったのは、息子である裕太さんが涙ながらに読み上げた弔辞だった。「父は最後まで明るく、私たち家族を笑顔にしてくれました。父が教えてくれた『人に優しく、感謝の気持ちを忘れない』という言葉を胸に、これからも精一杯生きていきます」と、父親への感謝の気持ちと、その教えを胸に刻み、力強く生きていくことを誓った。
渡辺徹さんは、もうこの世にはいない。しかし、お茶の間を笑顔で包み込んだその温かい人柄と数々の名演技、そして「ありがとう」という最期の言葉は、これからも私たちの心に生き続けるだろう。