子役時代から天才肌と謳われ、数々のドラマや映画で活躍してきた志田未来。愛くるしい笑顔と確かな演技力で国民的人気を博したが、成長と共に避けては通れない道が立ちはだかった。それは「子役のイメージからの脱却」。29歳になった今、彼女は過去の苦悩、そして女優としての未来について赤裸々に語った。
2000年にデビューした志田は、わずか6歳にしてその才能を開花させる。2005年のドラマ「女王の教室」で演じた、いじめられながらも強く生きる少女・神田和美役はあまりにも有名で、その迫真の演技は視聴者に衝撃を与えた。その後も「14才の母」「正義のセ」など、話題作に立て続けに出演。天才子役として、その名は日本中に知れ渡ることとなる。
しかし、順風満帆に見えた女優人生にも影が差し始める。10代後半に差し掛かり、子役時代のイメージが強すぎたことで、役柄の幅が狭まってしまったのだ。これまで演じてきたような子供らしい純粋な役は減り、かといって大人の女性を演じるにはまだ経験不足。もがき苦しむ日々が続いたという。「周りの期待に応えなきゃいけないのに、自分には何もできない。そんな自分が嫌で、悔しくて…」と当時を振り返る彼女の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。
転機が訪れたのは20代になってからだった。2015年のドラマ「ドS刑事」では、多部未華子演じる主人公の妹・馬場蘭役に抜擢。天真爛漫でちょっとおバカな女子大生という、これまでとは全く異なる役柄に挑戦したのだ。このドラマをきっかけに、コメディ作品にも積極的に出演するように。コミカルな演技で新たな一面を見せ、世間を驚かせた。
そして2018年、25歳の時に出演したドラマ「dele」では、余命わずかな青年と依頼人の人生を全うする仕事人の物語で、難病を抱える女性というシリアスな役どころを熱演。子役のイメージを完全に払拭し、実力派女優としての地位を確立した。
「もう子役のイメージは捨てました。これからは、大人の女性としての魅力を出せるような、幅広い役柄に挑戦していきたい」と語る彼女の表情は、子役時代の面影を残しつつも、どこか凛とした強さを感じさせる。
29歳という節目を迎えた志田未来。その瞳の奥には、女優としてさらなる高みを目指す強い決意が宿っていた。これからも、彼女がどんな顔を見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。