1986年4月8日、日本中に衝撃が走った。人気絶頂アイドル、岡田有希子さんが、わずか18歳の若さで自ら命を絶ったのだ。4月7日に事務所で手首を切った後、翌日には投身という衝撃的な最期だった。人気アイドルの突然の死に、日本中が悲しみに暮れ、後追い自殺をするファンも現れるほどの社会現象となった。
岡田有希子さんといえば、1984年に「ファースト・デイト」で歌手デビュー。その愛らしいルックスと澄んだ歌声で一躍人気アイドルの仲間入りを果たした。翌年リリースした「リトル・プリンセス」はオリコン1位を獲得、人気アイドル番組「夕やけニャンニャン」にもレギュラー出演するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
そんな彼女を襲った悲劇。自殺の原因については、当時から様々な憶測が飛び交った。「枕営業」を強要されていた、妊娠していた、といった根も葉もない噂も流れた。しかし、真相は闇の中。残された遺書には、「お父さん、お母さんごめんなさい。もう疲れた」という短い言葉があったのみだった。
彼女の死から35年以上経った今でも、真相は明らかになっていない。しかし、残された楽曲や映像からは、彼女の輝かしい才能と、それに反比例するかのような精神的な脆さを感じ取ることができる。
「Summer Beach」で見せる無邪気な笑顔、そして「くちびるNetwork」で見せる大人びた表情。岡田有希子さんは、楽曲によって様々な顔を見せるアイドルだった。しかし、その笑顔の裏には、計り知れないプレッシャーや孤独があったのかもしれない。
人気絶頂の中での自殺。それは、彼女が抱えていた闇の深さを物語っている。若くしてこの世を去った岡田有希子さん。彼女が残した歌声は、今もなお多くの人の心を打つ。そして、彼女の死は、芸能界の光と影、そして若者が抱える苦悩を私たちに突きつける。
真実はわからない。それでも、彼女の残した楽曲や笑顔は、永遠に輝き続けるだろう。そして、彼女の死を教訓に、二度と同じような悲劇が起きないことを願うばかりである。