盲導犬ミッキーは、かつて目の不自由な宮越さんの目となり、杖となり、共に人生を歩んだ忠実なパートナーでした。しかし、年を重ねた彼は、その役割を果たせなくなり、やむなく引退を迎えました。それから3年、ミッキーは15歳になり、引退後の穏やかな日々を過ごしていましたが、年老いた彼の体は次第に衰えていきました。
ミッキーは自分で排便することができなくなり、歩くことさえも困難になっていました。老犬担当の辻さんは、ミッキーの体調を気遣い、毎日排便を促しながら介護に励んでいましたが、彼の体は日に日に弱っていくようでした。それでも、辻さんをはじめとする職員たちは、ミッキーに少しでも元気を取り戻してもらいたいと、毎晩交代で彼のそばを離れず看病を続けました。
一方で、北海道盲導犬協会では、盲導犬の役割がきちんと果たされているかを確認するために、毎年1回の研修会が行われています。その研修会には、ミッキーの元パートナーである宮越さんの姿もありました。宮越さんは、2頭目の盲導犬であるトゥルーと共に新たな生活を送っていましたが、ミッキーのこともずっと気にかけていました。
ミッキーは辻さんたちの手厚い看護のおかげで、少しずつ体力を取り戻し、自分の力で歩けるようになっていました。しかし、ミッキーが再び宮越さんに会えるかどうかは、依然として不透明な状況でした。
そんなある日、宮越さんの歩行チェックが行われるタイミングで、ミッキーが入口のそばまで歩いてきたのです。彼は3年前に別れた宮越さんのことを覚えていたのでしょうか?ミッキーが自らの意思で宮越さんの方へ歩いて行ったのは確かです。しかし、ミッキーが再び興奮してしまうかもしれないというスタッフの懸念から、その日は対面が見送られました。
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