柴田恭兵。彼の名前を聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、テレビドラマ『あぶない刑事』の熱血刑事・鷹山俊介役だろう。彼はそのダンディな魅力とクールな演技で、多くの視聴者を魅了してきた。しかし、その華やかな表舞台の裏では、柴田は並々ならぬ悲劇と戦ってきた。彼の次男の壮絶な孤独死、そして自らも肺癌と向き合い、それを乗り越えた現在の姿は、多くの人々の胸を打つ。
柴田恭兵は、プライベートをあまり公にしないことで知られているが、その家族には深い悲劇が隠されていた。次男の柴田あゆさんは、2004年に重度の喘息による心臓発作で、わずか20歳の若さで命を落とした。あゆさんは九州芸術工科大学でコンピュータ音楽を学んでおり、一人暮らしをしていた。彼の友人が連絡が取れないことを不審に思い、彼のマンションを訪れた時には、すでに彼は帰らぬ人となっていた。
その孤独死が周囲に与えた衝撃は計り知れない。柴田恭兵もまた、最愛の息子を失ったことへの悲しみと、自分がそばにいられなかった後悔で心を痛めたと言われている。専門家によれば、思春期から青年期の喘息患者は、自身で治療の主導権を握るため、治療が不十分になりがちだという。
次男を亡くしてから2年後、柴田恭兵自身にも試練が訪れる。2006年、彼は肺癌と診断された。幸いにも初期段階で発見され、手術によって摘出されたものの、闘病生活は非常に過酷だった。柴田はヘビースモーカーであり、それが癌の一因となったと言われている。癌を乗り越えるために、彼は長年の喫煙習慣を断ち、抗癌剤治療にも耐え抜いた。
手術後、柴田は激やせし、復帰したテレビドラマ『ハゲタカ』では、その変わり果てた姿に視聴者たちは驚いた。しかし、彼は強い意志で再び俳優としての活動を再開し、再発率が50%を超える肺癌と戦いながらも、今なお元気に俳優業を続けている。
柴田恭兵が石原プロを抜けた理由にも、多くの人々が驚いた。彼は石原プロに所属していた時期、数々のドラマや映画で活躍していたが、その後フリーランスとして活動を開始した。彼が石原プロを離れた理由については多くの憶測が飛び交ったが、現在は奥様である柴田かなさんが社長兼マネージャーとして彼を支えており、夫婦で二人三脚の生活を送っている。
柴田恭兵は、今もなお俳優としてのキャリアを続けている。2017年にはNHKのドラマ『この声を君に』に出演し、髭姿という新たな一面を披露した。彼の演技は年齢を重ねても衰えることなく、ますます磨きがかかっている。また、2020年には映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』にも出演し、久しぶりに元気な姿を見せた。
一方で、彼は趣味である草野球にも熱中している。プロ野球顔負けの本格的なチームに参加し、練習にも余念がないという。マネージャーである妻かなさんは、そんな彼の姿に少し焦りを感じながらも、彼の健康を喜び、見守っているようだ。
息子の孤独死、そして自らの癌という二重の試練を乗り越えた柴田恭兵。彼の現在の姿は、多くの人々に勇気を与える。彼は病に屈せず、今もなお人生を謳歌し、俳優としての活動を続けている。今後も彼が健康で充実した日々を送り続けることを、心から願ってやまない。