昭和の時代、名古屋駅は日本の重要な交通拠点の一つであり、毎日数千人の乗客が行き交う賑やかな場所でした。電車の発着の音、切符売り場の忙しない声、そしてホームに響く足音。その中で、ひときわ目立つ存在だったのが「赤帽さん」たちでした。彼らは、旅行者や商人、荷物を抱えた家族連れの荷物運びを手伝う、鉄道駅のヒーローとも言える存在でした。

当時、名古屋駅を訪れた人々は、重たいスーツケースやかさばる荷物を持って移動するのに苦労していました。そんな時、頼りになるのが赤帽さんたちの存在でした。彼らは赤い帽子をかぶり、制服姿で颯爽と歩きながら、乗客の荷物を手際よく運び、どこへでも届ける。

名古屋駅の階段やエスカレーターがなかった時代、重い荷物を持ち上げて階段を昇り降りする姿は、今でも目に浮かびます。

時代に埋もれた「赤帽さん」の仕事

この日も、国鉄名古屋駅の地下通路から階段を上がってくる赤帽さんたちの姿があった。彼らの顔には疲れが見えながらも、誇り高く仕事をこなす決意が溢れている。古びた布製の鞄、革の取っ手がすり減ったトランク、そして旅行者が持ち込んだ大きなスーツケース。どんな荷物であっても、彼らは一切文句を言わずに運び続けた。

昭和40年代、まだエレベーターやエスカレーターがほとんど普及していない駅構内では、重たい荷物を運ぶのは大変な労働だった。

それでも、赤帽さんたちはどんなに重くても、どんなに階段が多くても、休むことなく荷物を運んだ。特に国鉄名古屋駅の地下通路は広く、急な階段がいくつもあったため、赤帽さんたちにとっては体力のいる仕事だった。

彼らの姿を見かけた旅行者たちは、安堵の表情を浮かべたものだ。なぜなら、赤帽さんに荷物を預ければ、目的地まで確実に届けてくれると信頼されていたからだ。

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