昭和30年代、国鉄藤沢駅のホームは、毎朝小学生たちで賑わっていた。彼らは制服を着て、通学カバンを肩に掛け、列車が来るのを待っている。特に目立ったのは、いつも仲良く一緒にいる双子の姉妹、さくらとみちこだった。彼女たちは、いつも好奇心旺盛で、ホームにある小さな本屋で立ち読みをするのが日課だった。

 始まりの朝

その朝も、さくらとみちこは藤沢駅のホームに立っていた。二人ともランドセルを背負い、制服の襟を正しながら、本屋の前に並べられた雑誌に目を奪われていた。さくらは漫画のページをめくり、みちこは科学雑誌の図鑑を見ていた。

「今日はどんな新しいことが載ってるかな？」とみちこはさくらに尋ねた。「わからないけど、毎日何か新しいことを学べるのが楽しみだよね」とさくらは笑顔で答えた。

 昭和の風景

藤沢駅のホームは、昭和の典型的な風景を色濃く映し出していた。駅員の笛の音、列車の汽笛、そして賑やかな乗客たちの声が交じり合っていた。ホームには、朝の通勤ラッシュに急ぐ大人たちと、さくらとみちこのような小学生が混在していた。小学生の通学列車待ちは当時としては珍しい光景であり、多くの大人たちが微笑ましく見守っていた。

 不思議な出会い

ある日、さくらとみちこは本屋で立ち読みをしていると、見慣れない少年が近づいてきた。彼は短髪で、やや薄汚れた制服を着ていた。「君たちも列車で学校に行くの？」とその少年は尋ねた。さくらが「そうだよ。君も？」と答えると、少年は頷いた。「僕は隣町の学校に通ってるんだけど、いつもここで本を読むのが好きなんだ」と彼は言った。

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