昭和40年代後半、名古屋空港(現:名古屋飛行場)は、愛知県の玄関口として、多くの旅行者が利用する重要な空港の一つでした。小牧市に位置し、1952年から2005年まで愛知県の代表的な空の玄関口としての役割を果たしていました。その時代に名古屋空港で繰り広げられた新婚旅行のエピソードが、今なお色褪せることなく語り継がれています。
その頃、母の妹が新婚旅行に出発する際、一家総出で名古屋空港まで見送りに行ったそうです。空港は多くの利用客で賑わい、昭和の時代を象徴する風景が広がっていました。出発の瞬間を見届けるため、家族が集まり、まるで映画のワンシーンのような光景が広がったのです。
当時の名古屋空港は、今と比べて非常に異なる様子を見せていましたが、意外にも変わらないものもありました。例えば、空港に止まっていたタクシー。写真を見比べると、デザインや雰囲気に多少の違いはありますが、基本的なスタイルはあまり変わっていないことがわかります。これには、長年の間で時代の移り変わりを感じさせない、どこか安心感を与える要素があったのかもしれません。
しかし、その見送りの際、意外な出来事が起こりました。母の妹は、新婚旅行に出発する直前、忘れ物に気づいたのです。パスポートを家に忘れてしまったという信じられないハプニングが発覚しました。その瞬間、空港にいた家族全員がパニックに陥り、母親は急いでタクシーを拾って家まで取りに戻りました。
家から空港までの距離はそれほど遠くなかったものの、当時の道路事情や交通量を考えると、出発時間に間に合うかどうかは不安で一杯でした。
新婚旅行先では、このパスポート事件が二人の旅の始まりとして一生忘れられない思い出となり、その後も家族内で語り継がれるエピソードとなったそうです。
現在の名古屋空港は、外観も設備も大きく様変わりし、当時の面影を残しつつも、現代的な姿へと進化しています。しかし、昭和の時代に感じられた温かみや、人々の交流、そしてその場に生まれるドラマは、今も昔も変わらずに存在しています。
このように、時代が移り変わっても、人々の心にはその時代ならではの思い出が深く刻まれています。名古屋空港での一幕も、そんな昭和の懐かしい記憶の一つとして、今後も語り継がれていくことでしょう。