昭和時代初期、日本はかつてないほどの経済的混乱に直面していました。それは、いわゆる「昭和恐慌」として知られる時期であり、この時代を生き抜いた人々の生活は、まさに地獄のようなものでした。
昭和恐慌が発生した背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、大正時代中期には、日本は第一次世界大戦の影響で急激な経済成長を遂げていました。特に輸出が増加し、海運業や造船業が大きな利益を上げていました。しかし、この繁栄は一時的なもので、大正9年(1920年)には、その特需バブルが崩壊し始めます。ヨーロッパの経済復興が進むにつれて、日本の経済は徐々に減速し、特に金融界が混乱に陥り、多くの銀行が休業を余儀なくされました。
さらに1929年には、アメリカで「暗黒の木曜日」と呼ばれる株式市場の大暴落が発生しました。この影響は瞬く間にヨーロッパ、そして日本に波及し、日本の経済もまた急激に縮小しました。これにより、金輸出禁止政策を撤廃しようとした日本政府の試みが裏目に出て、主要産業の価格が大暴落し、経済はさらに悪化しました。
昭和恐慌の結果、多くの企業が倒産し、大規模なリストラが行われました。これにより、失業者の数は急増し、街にはホームレスがあふれるようになりました。
そんな状況下で、昭和5年には、「すっからかんの空財布でも分呑気だね」という歌詞が流行しました。これは、いかに当時の人々が不況の中で笑い飛ばそうとするしかなかったかを象徴しています。
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