昭和の時代、特に昭和30年代は、日本が戦後の復興期を経て、徐々に生活が安定してきた時代でした。この時代に生きた人々にとって、レストランでの外食はまだ特別な体験でした。そして、その一つが「福壽軒」。地元で最も古く、歴史と伝統を感じさせるこのレストランは、多くの人々の思い出に残る場所となっていました。

昭和30年代ごろの「福壽軒」のメニューです。当時のメニューを見てみると、そのシンプルさと整理された内容から、店の雰囲気や料理の味までが想像できるようです。何よりも、その驚きの価格設定に驚かされます。

まず目を引くのは、定食の価格。最も安いもので250円、最も高いものでも300円です。これだけで、当時の物価水準が垣間見えます。現代の感覚で考えると、250円で一体どんな料理が楽しめたのか、不思議でなりません。

この250円の定食には、どんな料理が含まれていたのでしょうか。スープ、メインの肉料理、ライス、そしてデザートやお茶がセットになっていたと考えられます。ボリューム満点で、満足感のある食事が提供されていたことでしょう。特に、肉料理は「ビーフシチュー」や「カツレツ」といった、今でも人気のあるメニューが含まれていた可能性が高いです。

そして、メニューには「冷肉」という項目も見られます。これはおそらく、冷製の前菜やハム、サラミなどを指していたのでしょう。特に、昭和30年代には、冷蔵技術がまだ発展途上にあったため、こうした「冷肉」

また、スープも非常にリーズナブルで、60円から楽しめたようです。「コンソメスープ」や「ボンヌファム」といった、フランス料理に由来するスープがメニューに並んでいたことは、当時の食文化の多様性を感じさせます。こうしたスープを一口飲むだけで、心が温まり、ホッとした時間が流れたことでしょう。

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