5年間部屋に閉じこもっていた息子が、ある日突然リビングに姿を現しました。我が家の21歳になる息子は、高校でのいじめが原因で16歳から世界との扉を閉ざし、家族との会話も避け続けていました。私たち夫婦は、彼の心に寄り添えず、ただただ時間が過ぎるのを見守ることしかできませんでした。外部の専門家にも助けを求めましたが、息子の心の壁は厚く、家族の絆は最悪の状態にありました。
そんな中、息子が私たちの前に立ち、手には一枚の手紙を持っていました。「これ」と言って差し出されたその手紙には、彼の揺れ動く心が綴られていました。その手紙を読んだ瞬間、私たちは涙が止まらなくなりました。手紙には、感謝の気持ちと共に、こんな自分でも家族に愛されていること、そして少しずつでも前に進みたいという強い意志が記されていました。
息子の勇気ある一歩は、5年間の沈黙を破り、私たち家族に新たな希望をもたらしました。手紙を通じて、彼が私たちを恨んでいるのではなく、ただただ自信を失っていただけだと理解しました。そして、私たちは息子を部屋から抱きしめに行きました。それからの数週間は驚くほどの変化があり、家族の会話も少しずつ戻ってきました。
この出来事は、私たち家族にとって、一生忘れられない瞬間となりました。息子の一歩が、これからの家族の歩みを大きく変えてくれることでしょう。これからは、ゆっくりと、しかし確実に、家族3人で新たな一歩を踏み出していきたいと思います。