まだまだ続く、マスメディアによるジャニーズ叩き。性加害という根本の問題をよそに、ジャニーズに関わるネガティブネタに食いつき、豊かな想像力を働かせて、難癖をつけまくる。それに傷つく人々たちがいることは、あえて想像しないかのように……。そんな中で報じられた、大河ドラマと松本潤をめぐる一件。ドラマの制作にも携わってきた作家・沖田臥竜氏には、あまりにも滑稽で本質から逸脱した問題と映ったようだ――。
ドラマ『ムショぼけ』(2021年)の冒頭で主人公である陣内宗介のセリフ「懲役の15年や16年、笑いながら行ったらぁ」。この言葉は、私が弱冠14歳にして鑑別所へと送られて、少年院送致へとリーチをかけられているときの出来事がきっかけで生まれた。鉄格子が嵌められ、コンクリート壁にかこまれた独房で泣きべそをかきながら目に入ってきたのが、ー少年院の半年や1年くらい笑いながら行ったる!ーという壁に刻み込まれた落書きだった。
当時の私には衝撃的であった。自分はたかだか1カ月の鑑別所暮らしで参ってしまっているというのに、この落書きの猛者は、さらに厳しい領域である少年院に、ー笑いながら行ってやる!ーと、おそらくズボンのファスナーの引き手を使って刻みつけたのだ。
それは私の脳裏にも刻みこまれ、小説『忘れな草』(2020年)でも、「笑いながら死んだらっ!」というセリフに使うことになった。私には、それは生命力に満ちた、生きた言葉だったのだ。
その言葉に出会ってから30年以上が過ぎた。お陰様で、いつの間にか10を超えるドラマや映画といった映像作品の原作や監修などに携わらせてもらっている。中にはバラシになった作品もあれば、途中で制作中止になったことや、費用もロケ地もキャスティングもスタッフも、すべて私が担当し完結しなかった作品もある。
ハリウッドドラマの監修も2作品あった。撮影中も日々、脚本がアップデートされ続け、ブルー原稿やイエロー原稿、名前が強そうなゴールド原稿などが送られてきて、それをすべてチェックするのである。
それはそれは大変な作業だが、相手のどんな要望に対しても、作品に携わる人々が納得できるような、それでいて自分しか浮かばぬようなアイデアを出し、筆を入れるのが監修の仕事と考えているので、「それはできません!」
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引用元:https://www.cyzo.com/2023/10/post_358485_entry.html,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]