兵頭てつ兄はその日、まさか自分がプロ野球の舞台に立つことになるとは思ってもいなかった。東京ヤクルトスワローズと広島東洋カープの試合が行われる神宮球場で、彼は人生初の始球式を務めることになったのだ。
小学校の頃に2年間だけ野球をやっていた経験があるとはいえ、それ以降は全くの素人。そんな彼がなぜ始球式に選ばれたのか、兵頭は戸惑いながらも、この特別な機会を受け入れることに決めた。
「始球式なんて、もっと野球経験が豊富な人がやるものだろう」と考えながらも、兵頭はそのチャンスを逃すまいと決意した。というのも、最近テレビ朝日のYouTube番組で、あるアイドルグループのメンバーが「始球式を何度もやっている」と話していたのを聞き、「そんなにチャンスがあるなら、やるべきだ」
試合当日、兵頭は朝から体調が優れなかった。前日に病院へ行って痛み止めを処方してもらったものの、完全には治らない。しかし、イベントのために選ばれたからには、彼はどうしても始球式を成功させたかった。
神宮球場に到着した兵頭を迎えたのは、すでに集まっていた多くのファンの熱気だった。野球道具を持ってきている人々の姿もあり、球場全体が一体となって盛り上がっているのが伝わってくる。スタッフに道具を預け、いよいよ始球式の準備が始まった。
始球式の5分前、スタッフが突然駆け寄ってきて、「注射が必要かもしれません」
いよいよ、その瞬間がやってきた。兵頭はマウンドに立ち、観客席を見渡した。監督や選手たちがベンチから彼を見守っているのが目に入り、彼の心臓はさらに速く鼓動し始めた。「頼む、失敗しないでくれ」と心の中で自分に言い聞かせ、ボールを握りしめた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=xqeiFMss-Pg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]