2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』では、平安時代中期を舞台に紫式部が主人公として描かれます。しかし、「紫式部って源氏物語を書いただけじゃないの？」という声も多く聞かれます。今回は、そんな疑問に答えるべく、紫式部の生涯と『光る君へ』の見どころを合わせて紹介します。

貧しい学者の娘から作家へ

紫式部の正確な生まれ年は不明ですが、967年から978年の間とされています。父親の藤原ため時は藤原氏の中流貴族で、学者としての地位を持っていましたが、官職には恵まれず、貧しい生活を送っていました。

夫との出会いと結婚

996年、ため時は越前国の国司に任命され、紫式部も父と共に越前に向かいます。翌年、彼女は藤原宣孝と結婚します。宣孝は派手な人物で、既に複数の女性と関係がありましたが、紫式部に対しては一途な愛情を示しました。二人の間には娘の賢子が生まれ、彼女は後に後一条天皇の妃となります。

夫の死と『源氏物語』執筆の始まり

1001年、宣孝が急死し、紫式部は若くして未亡人となります。

宮中での生活

1005年、紫式部は道長の娘、彰子に仕えるため宮中に入ります。宮中での生活は彼女にとって困難でしたが、一条天皇は『源氏物語』を気に入り、頻繁に彰子の元を訪れるようになりました。

政治的な背景と道長の野望

道長は、自らの娘を天皇の妃にすることで政治的な力を強化しようとしていました。紫式部の執筆した『源氏物語』は、その一環として利用されました。一条天皇の関心を引き、道長の娘の地位を確固たるものにするために、彼女の文学的才能が活かされたのです。

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紫式部の晩年

道長の政治的な野望が実現し、彼の娘たちは次々と天皇の妃となりました。一方で、紫式部は宮中で孤立し、寂しい生活を送っていたと言われています。彼女の晩年についての記録はほとんど残っていませんが、彼女の文学的業績は後世に多大な影響を与えました。

『光る君へ』では、紫式部の生涯だけでなく、彼女が生きた時代の政治的背景や、人間関係が詳細に描かれることでしょう。彼女の波乱に満ちた生涯を通じて、平安時代の貴族社会の複雑さを感じ取ることができるでしょう。