俺の娘は今年四歳になる。だが、嫁は娘を産んですぐに家を飛び出したため、娘には母親の記憶がほとんどない。今まで母親のことはあまり話題にしないようにしてきたが、最近、心に響く出来事があった。
それは、仕事の移動中に乗った電車の中でのことだった。俺の隣には、幼稚園くらいの女の子が母親らしい若い女性と一緒に座っていた。途中の駅で片腕のない女性が乗ってきて、俺たちの向かい側に座った。その時、女の子が大きな声で「お母さん、なんであの人は手がないん?」と質問したのだ。
その瞬間、俺はドキッとして、女性と親子から思わず目をそらした。だが、その母親らしき女性は慌てることなく、穏やかな声で女の子に向かって話し始めた。
「いろんな人がいるのよ。みんなが同じじゃないの。まるちゃんにはおじいちゃんとおばあちゃんがいないでしょう?」
「うん、みんなはいるけど、私はおじいちゃんとかおらへんねんな。」
「そうね。でも、それはまるちゃんのせいじゃないよね。」
「うん、違う。」
「ほら、何々ちゃんのところはお父さんがいないけど、それも何々ちゃんのせいじゃないよね。」
「うん、違う。」
「だからね、みんな同じじゃないの。みんなそれぞれ持ってるものと持ってないものがあるんよ。でもね、持ってないからってその人は何も悪くないし、他の人と何も違わないよ。」
腕のない女性を含めて、社内に乗り合わせていた人たちはみんな暖かい目でその親子を見守っていた。思わず目をそらしてしまった自分が恥ずかしくなった。自分の娘にも、母親のことを恥じない子に育ってほしいと思った。
この電車の親子は、俺に子育ての大事なことを教えてくれた気がする。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=e8DsxgwVff0&pp=ygVs44CM44GK5q-N44GV44KT44CB44Gq44KT44Gn44GC44Gu5Lq644Gv5omL44Gq44GE44KT77yf44CN4oaS5q-N6Kaq44Gu562U44GI44Gr6ICD44GI44GV44Gb44KJ44KM44KL44O744O744O7,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]