ゴールデンウィークの混雑した新幹線。指定席を購入していた俺は、いつものように東京に向かって出発する予定だった。しかし、その日、俺を待ち受けていたのは予想外の事態だった。
新幹線がホームに到着し、俺はチケットを手に自分の指定席へと急いだ。混雑を避けるために事前に指定席を取っていたので、安心して座れるはずだった。しかし、席に到着すると、そこには見知らぬ男が座っているではないか。男は何食わぬ顔で席に座り、しかも狸寝入りを決め込んでいるようだった。
最初は穏やかに、席を譲ってもらおうと声をかけた。「すみません、ここは僕の指定席です」。しかし、男は微動だにせず、まるで聞こえていないかのように完全無視を決め込んでいた。
俺は少し強めに、今度は肩を揺らしてみたが、男はまるで石のように動かない。しかも、薄目を開けて俺をちらちらと見ているのが明らかだった。完全に狸寝入りを決め込み、退こうとはしない。俺はますますイライラしてきた。
さらに不運なことに、男のケータイが何度も鳴り響く。メールか着信かはわからないが、そのたびに男はケータイを取り出したそうにしていたが、俺が隣にいるので、なかなか確認することができないようだった。
「イライラするなら、さっさと立てばいいのに…」俺はそう思いながらも、男が立ち去る気配が全くない状況にますます腹が立ってきた。
ここでふと思った。「このままではラチがあかない」。混雑するゴールデンウィーク、車内は満員で他の席も埋まっているだろうし、車掌もなかなか来ない。
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