江戸時代の庶民はどのようにお風呂に入っていたのでしょうか。現代とは異なる風習や文化が色濃く反映されていた江戸時代のお風呂事情について、今回はその実態に迫ります。江戸の庶民たちは、意外にも頻繁にお風呂に入り、その過程でさまざまな楽しみを見つけていました。

江戸時代の混浴文化

驚くことに、江戸時代の銭湯の多くは男女混浴が一般的でした。当時の日本では、混浴に対する抵抗がほとんどなく、それは神聖な水で体を清めるという古くからの信仰に根付いていました。特に江戸の町では、暑い夏の日に男性はふんどし一丁、女性は浴衣姿で街を歩くのが普通であり、裸で一緒にお風呂に入ることも日常の一部とされていました。

しかし、江戸幕府はたびたび混浴禁止令を出すものの、ほとんど効果がありませんでした。

最終的に、明治時代に入ると西洋の影響を受けて混浴は禁止され、ようやく男女別の浴場が普及しました。

江戸時代のお風呂の入り方

江戸時代の銭湯の入り方も現代とは異なっていました。客はまず玄関で履物を脱ぎ、番台で入浴料を払います。当時の料金は大人が八文、子供が五文で、現代の価値に換算すると、大人が約150円、子供が約100円ほどです。これが「はがき」と呼ばれる定期券であれば、一ヶ月好きなだけ入浴することができ、一日に何度も銭湯を訪れる人も少なくありませんでした。

銭湯の内部は、まず脱衣場があり、その奥に洗い場と浴槽がありました。洗い場には「ザクロ口」と呼ばれる低い入り口があり、ここをくぐることで浴槽に入ります。この入り口が低いのは、お湯を冷めにくくする工夫であり、窓も小さく作られていたため、浴場内は非常に薄暗かったようです。

江戸時代の初期には、蒸し風呂が一般的で、湯船に肩まで浸かることはありませんでしたが、中期になると、現代と同じく湯船にお湯をためて体を温める入浴方法が普及しました。

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