1974年3月、日本全土が一人の元兵士の帰還に沸き立ちました。その名は小野田寛郎。彼は第二次世界大戦が終わった後も、フィリピンのルバング島で約29年間にわたり、潜伏を続けていた「最後の日本兵」として知られています。戦争が終わった事実を信じず、命令に従い続けた彼の壮絶な戦いと、その後の帰還が日本中に衝撃を与えました。
1944年、小野田寛郎は中野学校を卒業し、陸軍少尉としてルバング島に派遣されました。彼に与えられた任務は、ゲリラ戦を展開し、敵軍の進行を妨害すること。彼は部下とともに島のジャングルに身を潜め、連絡が途絶えた後も、上官からの命令を忠実に守り続けました。
戦争が終結した後、幾度となく降伏勧告のチラシやラジオ放送が行われましたが、小野田はこれを敵の策略と見なし、受け入れませんでした。彼の信念は揺るがず、食料や生活物資を現地で調達し、仲間とともに生き抜く道を選びました。しかし、年月が経つにつれ、仲間は次々と命を落とし、小野田一人が孤独な戦いを続けることとなりました。
1974年、小野田はついに帰還を果たしました。そのきっかけは、日本からルバング島に訪れた青年、鈴木紀夫との出会いでした。鈴木は小野田を発見し、彼に戦争が終結したことを伝えましたが、小野田はまだ信じようとしませんでした。彼が帰還を決意したのは、上官の谷口少佐が現地に赴き、自ら命令を解除した時でした。
小野田はようやく「戦争が終わった」という事実を受け入れ、祖国日本へ帰還する決意を固めたのです。
帰還後、小野田は日本のメディアに姿を現し、29年間の潜伏生活について語りました。
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