17世紀から18世紀にかけて、フランスのヴェルサイユ宮殿と日本の江戸は、それぞれの国の繁栄を象徴する都市として栄えました。しかし、両者の糞尿処理の方法には、驚くほど大きな違いがありました。同じ時代に存在しながらも、これほどまでに差が生じた背景には何があったのでしょうか。今回は、ヴェルサイユ宮殿と江戸のトイレ事情を徹底的に比較し、その違いを掘り下げてみましょう。

ヴェルサイユ宮殿のトイレ事情

まず、ヴェルサイユ宮殿の糞尿処理について見ていきましょう。フランス王室の権力と栄華を象徴するヴェルサイユ宮殿ですが、その裏側には深刻なトイレ問題が存在していました。

宮殿内には数少ないトイレしかなく、住む貴族や召使たちはしばしばトイレにたどり着けないまま、庭や隅に排泄することが常態化していました。特に、使用人たちはトイレの数の少なさやその不便さにより、窓から外へ排泄物を投げ捨てることがしばしば行われていたと言われています。

この結果、宮殿周辺には悪臭が立ち込め、感染症の蔓延リスクが常に存在していました。実際、ルイ14世は何度も窓からのゴミ捨てを禁止する命令を出していますが、根本的な解決には至りませんでした。

江戸の糞尿処理システム

一方で、同時代の江戸では、糞尿が非常に効率的に処理され、農業資源として活用されていました。

江戸の住民が排出する糞尿は、周辺農村の農家によって買い取られ、田畑の肥料として利用されていたのです。この循環システムは、都市と農村の双方に利益をもたらし、江戸の衛生環境を保つ重要な役割を果たしていました。

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