江戸時代、酒の醸造技術が向上し、品質の高い酒が作られるようになりました。特に関西の酒が江戸で流通し始めると、庶民から上級武士まであらゆる身分の人々がその味を楽しむようになります。江戸時代には「京の着倒れ、大阪の食い倒れ、江戸の飲み倒れ」と称されるほど酒の消費量が多かったのです。では、江戸の人々はどのようにお酒を楽しんでいたのでしょうか？今回は江戸時代のお酒事情と居酒屋についてご紹介します。動画の後半には居酒屋で定番だった酒のつまみについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

江戸で飲まれた下り酒

江戸時代初期、京都や大阪などの髪型からもたらされた物資は「下り物」として重宝されていました。古着、木綿、醤油、菓子など生活必需品から嗜好品まで、産業面で進んでいた関西の製品に頼っていたのです。

関西の酒も代表的な下り物で、特に「下り酒」として絶大な人気を誇っていました。

江戸で飲まれた下り酒の中でも特に人気だったのが「諸白」です。諸白とは、米と麹米の両方に精白した米を使って醸造された酒のことです。16世紀中頃に奈良で作られ始めた諸白は、江戸時代に入ると摂津（現在の大阪府池田市や兵庫県伊丹市）で主に生産されるようになります。

当時の酒の産地として有名だったのは池田、伊丹、鴻池などで、特に伊丹の諸白は「灘三郷」ともてはやされ、御前酒として高く評価されていました。江戸時代中期から後期になると、新興勢力の「灘」が台頭し、灘の酒が江戸市場を席巻することになります。

会場輸送で旨みが増した下り酒

池田や伊丹で醸造された下り酒は、どのように江戸まで輸送されていたのでしょうか？江戸時代初期には酒は馬を使って陸送されていましたが、次第に船を使った海上輸送が一般化していきました。東廻り航路が整備されると、大量の下り酒が輸送されるようになります。特に、酒専門の「樽廻船」が登場すると、効率よく酒を江戸に運ぶことが可能になりました。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください