ファミリーレストランの喫煙席で、何とも奇妙な出来事があった。その日、私は彼氏を待ちながら席についていた。ファミレスの喫煙席は、タバコを吸う者にとっては唯一の逃げ場だ。
隣のテーブルには、若い妊婦が座っていた。彼女は携帯電話をいじりながら、息子を連れてやってきた。妊婦の彼女は、息子が話しかけても一切反応せず、携帯に夢中になっていた。
息子が「パパと同じ」と通りかかった男性を指差すと、彼女はイライラした表情を見せ、舌打ちをして脅すように言った。「携帯いじるのやめなさい」と言うと、その後は幸せそうに息子と接し始めた。まるで妊婦らしい優しさを取り戻したかのように。
しばらくして、彼氏がやってきた。彼は席に座るとすぐにタバコを取り出し、吸い始めた。すると、隣の妊婦が突然注意してきたのだ。
「すみません、煙草やめてくれませんか?妊婦なんですけど」と。
彼氏は一瞬驚いたが、冷静に返した。「ここは喫煙席ですよ。禁煙席に行った方がいいんじゃないですか?」
妊婦は一瞬黙ったが、「でも、ここしか空いてなかったんです」と言い訳を始めた。しかし、彼氏は聞く耳を持たず、タバコを吸い続けた。妊婦は明らかに苛立ちを感じながらも、他の席に移ることにした。
彼女が去った後、私はふと考えた。喫煙席にわざわざ来て注意する彼女の行動は、一体何だったのだろう。妊婦だからこそ、周囲の配慮を求める気持ちは分かる。しかし、喫煙席という環境では、それは通じないのだ。
ファミリーレストランの喫煙席は、喫煙者にとっての唯一の安らぎの場所だ。非喫煙者や妊婦がその空間に入ることは、ある意味で危険を伴う。彼女の行動は、自己中心的と言われても仕方がない。
彼女が去った後、周囲の客たちは微妙な表情をしていた。多くの人が「ここは喫煙席だ」という意識を持っている中で、彼女の行動は異様に映ったのだろう。
喫煙席と禁煙席は、それぞれの役割を持って存在している。喫煙者が自由にタバコを吸える場所が喫煙席であり、非喫煙者や妊婦が安心して過ごせる場所が禁煙席だ。その境界を無視する行動は、トラブルの元になる。
喫煙者もまた、自分の権利を守るために喫煙席を利用している。妊婦だからといって、その権利を侵すことは許されない。彼氏の行動は、喫煙者としての正当な権利を主張したものだ。
この出来事を通じて、喫煙席と禁煙席の重要性を再確認することができた。妊婦であれ、非喫煙者であれ、それぞれの席の役割を理解し、適切な行動を取ることが大切だ。