先月、東京行きの新幹線で一つの騒動が起こった。私はその日、指定席に座り、仕事に集中していたが、斜め前に座っていた就活中らしい若い女性が何度も切符と座席番号を確認している姿に気づいた。どうやら彼女の席には関係ないおじさんが座っているようだった。彼女は勇気を出して、おじさんに声をかけた。
「失礼ですが、席をお間違えではありませんか?」と、彼女が礼儀正しく尋ねると、おじさんはふてぶてしい態度で答えた。「ん?自由席が満席だから、こっちに来たんだけど」
しかし、その瞬間、女性は毅然とした態度で応戦した。「わかりました。私はこの席の料金を支払い、座席を占有する権利を持っています。あなたがその席を不法に占拠するなら、私は窃盗で訴えますが、それでも良いんですか?」その言葉を聞いたおじさんは、急に黙り込み、顔色を変えた。
この一部始終を見ていた乗客たちは、彼女の勇気と冷静さに驚き、感心していた。彼女も、席に座り直し、他の乗客に向かって「お騒がせして申し訳ありませんでした」と頭を下げた。隣に座っていたおばあちゃんは、「あなた、法学部の学生なの?すごいねえ」
と褒め称えたが、彼女は「いえ、違います。ただあまりにも腹が立ったので、知っている法律用語を使ってしまいました」と笑顔で答えた。
その後も、新幹線は東京へと進んでいった。彼女の冷静な対応に感銘を受けた乗客たちは、彼女に「就活がんばってね!」と声をかけていた。その中には、もしかすると大企業の社長や重要な人物もいたかもしれない。彼女の勇気と知識が、今後の人生にどう影響するのかは分からないが、少なくともその日、彼女は多くの人々に強い印象を残した。
今回の新幹線での出来事は、無礼な態度に対する毅然とした対応の大切さを教えてくれた。彼女のように冷静に、そして確固たる意志を持って立ち向かうことができるならば、どんな困難でも乗り越えることができるだろう。そして、言葉の力がいかに強力であるかも改めて感じさせられた。誰もが彼女のような強さと知恵を持ち合わせることができれば、より良い社会が築けるのではないだろうか。
このように、日常の中で遭遇する小さなトラブルも、その対応次第で大きな学びと成長の機会になることがあるのだと、今回の出来事を通じて感じた。