はじめに

皆さんは江戸時代の農民、百姓についてどのようなイメージをお持ちでしょうか？教科書では、年貢を取り立てられ、生活は苦しく、度々一揆を起こして抵抗する姿が描かれています。また、厳しい身分制度に縛られた生活もよく知られています。しかし、最新の研究によると、江戸時代の農民の生活はそれほど悲惨なものではなかったことが分かってきました。

実は名字を持っていた百姓

江戸時代の農民は名字を持っていなかったと教えられてきましたが、実際には多くの百姓が名字を持っていました。

ただし、公的な場や武士の面前で名字を用いることは禁じられていたため、名字を持っていないと誤解されてきたのです。また、百姓の名字はその土地柄などを由来としたために同じ名字となることが多く、かえって不便だったため、名前を使わないこともありました。

江戸時代に百姓の間で多かった名字の一例が東京都小平市の聖尊寺の墓石に刻まれています。小川、平沢、野村、広坂、青木などがあり、現代でいう佐藤さんや鈴木さんに相当するようです。

四脳交渉の本当の意味

教科書で習う四脳交渉の身分制度は、武士を頂点とする厳しい上下関係を定めるものとして描かれています。しかし、実際には四脳交渉は職業区分であり、厳しい身分制度ではなかったことが分かっています。

百姓たちは一方的に支配されるのではなく、村単位で裁判を開いて武士たちと渡り合っていました。

また、四脳交渉の農工商の間に上下はなく、その下にあったとされる得た否妊身分の人たちも一番下に位置付けられていたわけではないという説も出てきています。江戸時代の富山藩では、百姓の身分であった者が権力の象徴として周辺の百姓たちを支配することを許される例もありました。

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