夫が浮気相手と同棲し始めてから4年が経った。彼からはずっと「離婚してほしい」と言われ続けていたが、私の心は母親への配慮で揺れていた。私は昔から母を大切にしてきたし、彼女を悲しませたくなかったため、離婚に踏み切ることができなかった。
しかし、母が亡くなり、四十九日を迎えたその日、義母が私に「これでなんの後ろ盾もなくなったね」と嘲笑うように言ってきた。この言葉を聞いた瞬間、心の中で何かが決まった。「はい、もう心残りはありません。離婚します」と告げ、そのまま義実家を後にした。
元夫からは何度も署名捺印済みの離婚届が送られていた。私はそれらの中から最新のものに自分も署名し、速やかに提出した。手続きは驚くほどスムーズに進み、無事に離婚が成立。ついでに結婚や養子縁組を勝手にできないようにする手続きも行った。
離婚届を出したことを元夫にショートメッセージで伝え、ひとり静かな実家でぼんやりと過ごしていた時、玄関のチャイムが鳴った。モニターを確認すると、そこには元夫が立っていた。
「離婚届を出したって嘘だろ?俺の気を引きたいだけだろ?」と彼は言った。
ここから先の私の反応は、彼には理解できなかっただろう。確かに、私はその鉢を大事にしていたが、それは母が丹精込めて育てていたからであって、鉢自体には特別な思い入れはなかった。花を愛でる習慣もないし、特別な感情を抱いていたわけでもなかったからだ。
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