バイト先の小さな店で起こった出来事は、私にとって忘れられないものとなった。その日、中学生の少年が店内で万引きをしているのを見つけ、私と店長はすぐに彼を捕まえた。少年は怯えた表情を浮かべながら何も言わず、ただ目を伏せていた。私たちはとりあえず警察と親に連絡を入れ、三人で警察の到着を待つことになった。
しばらくすると、店のドアが勢いよく開かれ、少年の母親が怒鳴り込んできた。彼女の顔は怒りで真っ赤になっており、その声は店内に響き渡るほどだった。
「うちの子の将来をどうしてくれるんだ!訴えてやる!」
「子供のしたことなんだから、大目に見てくださいよ!」
その瞬間、これまで黙っていた店長がゆっくりと口を開いた。その声には、強い意志と冷静な怒りが込められていた。
「その言葉は、やられたほうが許すときに使う言葉です。」
母親は一瞬驚いた顔をしたが、店長はそのまま続けた。
「確かに、子どもには責任がないかもしれません。しかし、それならばその責任は親であるあなたが負うべきでしょう。本当に子どもの将来を考えている親なら、子どもが二度と同じ過ちを繰り返さないようにしっかり叱り、迷惑をかけた相手に心から謝罪するものです。そして、子どもと一緒に償いの方法を考えるのが親の役目ではないでしょうか?」
店長の言葉は、まるで彼女の心の中に深く突き刺さるようだった。
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