江戸時代の名物といえば、やはり大名行列です。全国各地の藩主が街道を練り歩き、その見事さは人々の目を奪いました。しかし、この大名行列、正式には「参勤交代」と呼ばれ、地方にいる藩主が江戸へ出ることを意味します。実はこの参勤交代、想像以上に過酷で大きな負担を強いられる行事でした。今回はその実態を詳しく紹介します。

参勤交代の背景と目的

参勤交代は、江戸城で将軍に謁見し、一定期間江戸屋敷で過ごすことを意味します。地方の藩主が江戸へ出てきても仕事がないのでは、と思いがちですが、実際には幕府の儀礼に参加したり、治安維持にあたったりと、多くの役割がありました。

また、江戸での滞在期間が終わると国元へ戻ることを「交代」と言い、他の大名と入れ替わるようにしていました。

参勤交代の目的は有力大名の財力を削ぐことでした。当初は外様大名のみが対象でしたが、後には譜代大名にも適用され、全国の大名たちが参勤交代を強いられるようになりました。基本的には江戸で一年過ごせば国元に戻り、また一年経過すると再び江戸に向かうというサイクルでした。しかし、遠方の大名には特例もあり、対馬藩や松前藩などは参勤交代の頻度が減らされていました。

参勤交代の費用と見栄

参勤交代には莫大な費用がかかりました。例えば、20万石の大名であれば500人、百万石の加賀藩ともなれば多い時で4000人のお供を従えていました。

このため、藩の財政を圧迫する一大イベントとなりました。行列を見栄えよくするために飾りをつけたり、派手な衣装を用意したりと、他藩に負けないようにするための出費も増えました。

中でも加賀藩の例では、一回の参勤交代につき約7億円もの費用がかかっていたと言われています。このような状況は藩の財政を逼迫させ、借金をしてまで行列を整える藩も多かったのです。

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