東ドイツ製の車といえば、まず思い浮かぶのが「トラバント」。かつてドイツの街中を駆け抜けたこの小さな車が、今でも自動車愛好家の心を捉えてやまない存在です。しかし、トラバントには意外な一面があります。それは、「鹿に食べられる車」という驚きの事実です。この興味深いエピソードを紐解きながら、トラバントの隠された魅力に迫ってみましょう。

トラバントの歴史と特徴

1957年に東ドイツのVEBサクセンリング自動車工場によって生産されたトラバントは、東西冷戦時代において「人民の車」として親しまれました。当時のドイツ民主共和国（東ドイツ）では、限られた資源の中で生産され、手に入れるためには数年の待ち時間を要するほど人気がありました。

その特徴は、わずか600ccの2ストロークエンジンで、最高速度は約100km/hという控えめな性能。しかし、そのシンプルで無骨なデザインと、どこか愛嬌のあるフォルムは、多くのドイツ国民に親しまれました。

また、トラバントのボディは非常に独特で、「ドゥロプラスティック」と呼ばれる軽量素材が使われています。これは綿や羊毛、パルプを使ったFRP（繊維強化プラスチック）で、金属をほとんど使用せず、リサイクル可能な素材が多く含まれています。これが後に「鹿に食べられる」という奇妙なエピソードを生むことになるのです。

驚愕のエピソード：「鹿に食べられる車」とは？

トラバントのボディに使われているドゥロプラスティックは、天然繊維が混ざった素材で、これが原因で動物、特に鹿に好まれるという逸話が残っています。

実際に、ドイツの田舎で放置されていたトラバントが鹿によってかじられたという話があり、これは都市伝説ではなく、事実に基づくものです。鹿は自然由来の物質に引き寄せられる傾向があり、トラバントのボディは彼らにとってまさに「食べ物」として映ったのでしょう。

当時の東ドイツの厳しい環境と資源の不足が、このような素材を使った背景にありますが、まさか動物に食べられてしまうとは、誰も予想していなかったでしょう。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください