1960年代、日本の自動車産業は急速に発展していました。特にその時代、国内外で高い評価を受けた車の一つが「プリンススカイラインスポーツ」でした。わずか60台しか生産されなかったこの車は、特別な存在感を放っており、そのデザインには驚くべき真実が隠されています。

イタリアの巨匠ジョバンニ・ミケロッティによるデザイン

この車の最大の特徴は、世界的に著名なイタリア人デザイナー、ジョバンニ・ミケロッティによってデザインされたことです。ミケロッティは数々の名車を手掛けたことで知られ、その一つ一つが独自の美学と洗練されたスタイルを持っています。彼は、フェラーリやマセラティといった高級スポーツカーを手掛けてきた経験を持ち、プリンススカイラインスポーツにもその技術と美的センスが存分に反映されています。

このプリンススカイラインスポーツのデザインは、イタリアのカーデザインのエレガンスと、日本の技術的な精度を融合させたものであり、その独特なフロントグリルや流麗なボディラインは、60年代の自動車デザインの中でも異彩を放っていました。特に、前後のランプのデザインや曲線の美しさが特徴で、現代のクラシックカー愛好家にとっても非常に価値のある存在です。

量産を拒まれた理由

しかし、なぜこの車が60台という少数しか生産されなかったのか、それにはいくつかの理由があります。

まず、当時のプリンス自動車工業（後の日産自動車）にとって、この車は技術力とデザインの粋を集めた、まさに「フラッグシップ」モデルでした。プリンス自動車は、このスカイラインスポーツを大量生産することを考えていたものの、当時の日本の市場はまだ高級スポーツカーを広く受け入れる段階には達していませんでした。価格面でも、当時の日本の大多数の消費者にとっては手が届きにくいものでした。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください